この記事では、
・ITコンサルとSIerの違い
・ITコンサルの具体的な仕事内容
・未経験からITコンサルを目指す方法
を、実務視点で解説します。
ITコンサルってそもそも何?SIerと何が違う?
結論:
ITコンサルとは「企業の経営課題・業務課題を、ITの力で解決する専門家」です。
多くの人はITコンサルを単なるSIerと思いがちですが、実際とは異なります。
SIerは、プログラム等を実際に「作る」側だが、ITコンサルは何を作るかを「決める側」です。
本記事ではそんなITコンサルのお仕事をわかりやすく解説していきます!
ITコンサルの役割
コンサルの役割を一言で表すと、
「企業のお医者さん」です。
現実の医者のようにコンサルには得意や専門とする分野がそれぞれあり、ITコンサルでいえば、「ITの力で病気を治すのが得意」ということになります。
企業が抱えている課題は、
・業務が非効率
・システムが古くサポート期限間近
・データが分断されている
など様々です。
ITコンサルはこれらの課題をヒアリング、整理をし、
「業務として何が問題なのか」→「ITでどう解決するか」
に落とし込みます。
ITコンサルの主な業務
前段話した通り、ITコンサルとSIerは明確に役割が違います。SIerが「システムを作ること」そのものが仕事なのに対して、ITコンサルの仕事は「システムを使ってどのように業務課題を解決するかを考える」ことになります。
基本的にプロジェクトはいくつかのフェーズに分かれて進んでいきます。
・要件定義
・設計
・開発
・テスト
・移行
・運用保守
各フェーズでITコンサルとしてどのような作業をしているか、具体的に説明していきます。
要件定義|現場の困りごとをヒアリングし「システム要件」に変える
要件定義は、プロジェクトの成功・失敗を分けるとても大事なフェーズです。ここでクライアントの困りごとを正確にヒアリングできないと、この後のフェーズで手戻りが発生したり、期待していたシステムが出来上がらなかったりと大変なことになります。
現場担当者のヒアリングで、
・今どんな業務を行っているのか
・非効率と感じているところはどこか
・何に時間がかかっているか
などなど、困りごとをヒアリングします。
例えば、
「Excelで手作業集計していて時間がかかる」
という声があった場合、「受注データを自動で集計し、画面に一覧表示する」
といった形で、システムで実現できる要件に落とし込みます。
最終的に、これらの内容を要件定義書としてドキュメント化するところまでがこのフェーズのゴールとなります。
この時、単に表面的な困りごとだけではなく、クライアント対話を重ね、クライアント自身も気づいていない・言語化できていない困りごとまで引き出すことができるかどうかがITコンサルの腕の見せ所です。
設計|要件をもとに「どう作るか」を決める
設計フェーズでは、要件定義で決めた内容を実際にシステムとしてどう実現するかを具体化します。
主な作業は、
・画面の設計
・入力、出力データの整理
・データ構造の設計
・システム間のデータ連携設計
などです。
この段階で、パッケージ導入のプロジェクトであれば、
「標準で対応可能か」、「アドオン開発が必要か」
といった判断も行う。(要件定義時にまとめて判断することもあります。)
設計書は、開発者が見てそのまま実装できるレベルまで落とし込むことで、認識齟齬を減らし開発手戻りが少なく開発を進めることができます。
開発|作る人を支える役割
開発フェーズでは開発者が実装を行なっていき、ITコンサルは設計・仕様の伝達、開発物の受け入れといった役割を担当します。
ここで要件通りに作られているかをしっかりレビューしておかないと後のテストフェーズで無駄な手戻りが発生することになります。
また、人によっては開発者を管理する「開発管理」と言う役割を担う人もいます。
開発管理は主に、開発者の工数管理、設計書や開発物のレビューを通して、プロジェクトの成果物を標準化することが役割となります。
ここでしっかり統制を効かせることで、保守性の優れたシステムが出来上がります。
テスト|業務で使えるかを確認する
テストフェーズでは実際の業務を想定した操作を行い、問題なく使えるかを確認します。
テスト種別としては結合テスト、総合テスト、性能テストなどがあり、各テストごとに見るべき観点が変わってきます。
各種テストについての説明はここでは割愛し、別記事で説明しようかなと思います。
移行・リリース|本番環境への切り替え
各種テストが完了したら、いよいよ本番環境への切り替えです。
・既存データの移行
・本番切り替え作業
・切り替え当日のトラブル対応
などを行います。
移行作業はぶっつけ本番ではなく、前段のフェーズと並行して「移行リハーサル」なるものを複数回行うことで、安全な移行作業を行います。万が一トラブルがあった際のコンチプランも事前に決めておき実行できるようにしておく必要があります。
運用保守|安定して使い続けるための支援
本番稼働後は、
・問い合わせ対応
・軽微な改修
・追加要望の整理
などを行います。
ここで出てきた要望が、次の改善プロジェクトにつながることもあります。
まとめ
ITコンサルの主な業務は、
「課題を整理する → 仕組みに落とす → 正しく作られているかを確認する」 ことです。
1日の仕事の流れ
ITコンサルの1日はプロジェクトのフェーズや時期によって変わりますが、
ここでは比較的よくある1日の例を紹介します。
9:00 出社・メール/チャット確認
出社後にまず行うのはメールやチャットの確認です。
・顧客からの問い合わせ
・自チーム内外からの連絡
などをチェックします。
10:00 社内・顧客打ち合わせ
午前中はプロジェクトの内部定例などが入ることが多いです。
・内部の朝会
・顧客との定例会議
基本的には進捗の報告や課題の確認を行います。
12:00 昼休憩
社食や外食で昼食を取ります。
私はリモート勤務メインなので自宅ですませることが多いです。
13:00 資料作成・設計書作成
午後は比較的ワークの時間をとれることが多いため、諸資料の作成などを行います。
15:00 レビュー会・質問対応
開発者や自チーム内の作成物のレビューを行います。
机上のレビューを行うこともありますが、会議を設けて口頭で説明、チェックをすることが多いです。
17:00 進捗確認・課題整理
・進捗状況の整理
・遅延している作業の把握
・課題の洗い出し
を行い、必要に応じて関係者に共有します。
18:00 退勤
キリの良いところで退勤します。
各フェーズの終わりは忙しくなることが多く、毎日残業が続くと言うことも珍しくありません。
月によって変動はありますが、平均すると月30時間ほど残業があります。
ITコンサルに求められるスキル
ITコンサルに求められるスキルは2種類あり、コンサルタントに必要な基礎スキルに加えて、ITの知識・専門性も求められます。それぞれ説明します。
コンサルタントの基礎スキル
まずはどのようなコンサルタントにも必須のスキルについてです。
論理的思考力
課題に対して、
・何が問題なのか
・なぜ起きているのか
・どうすれば解決できるのか
を筋道立てて整理する力です。
「それってMECEになってる?」などよく言われますが、こういった構造化して整理する能力はコンサルタントにとって必須の能力になります。
課題発見力
顧客が言語化できていない問題を見つける力です。
例えば、
「作業が大変」と言う声の裏に、
・手作業が多い
・システムが分断されている
といった真のボトルネックが隠れていることが多々あります。
こうした真の課題を見つける能力も必要となります。
コミュニケーション能力
ITコンサルは、
・経営層
・現場担当者
・開発者
などさまざまな立場の人と会話をします。
相手に合わせて、専門用語を噛み砕いて説明する能力が必要になります。
また②の課題発見力にも通ずるところですが、クライアントと会話を重ね本当の要件、要望を聞き出すということも大事になります。
ドキュメント作成能力
「コンサルの作る資料にお金を払っている」、と言う人もいるほど、コンサルタントは作成するドキュメントが圧倒的に多いです。その分ドキュメントの作成能力が問われます。
単に見てくれが良いだけではなく、自分の考えを整理し、「誰が読んでも理解できる」資料にすることが大事になります。
IT知識・専門性
ITコンサルにもとめられるITスキルは、
「全てを実装できること」ではなく、
システム全体を構造として理解できることです。
どんな専門を持ったITコンサルになりたいかにもよりますが、一般的に必要とされるのは以下です。
業務アプリケーションレイヤー
まずは、導入しようとしているアプリケーションシステムが何のためのシステムかを理解することです。
・ERP
・販売管理・購買管理・会計
・在庫管理
など、それぞれのシステムがどんな業務を担っているか、どんなデータを扱っているかを説明できるレベルが求められます。
データレイヤー
次に重要なのがデータの考え方です。
- マスタデータ
- トランザクションデータ
- 履歴データ
といった違いを理解し、
- どのデータが
- どのタイミングで
- どのシステムに登録されるのか
を把握しておく必要があります。
システム連携
企業のシステムは1つだけで完結していることはほぼありません。
- API連携
- ファイル連携
- バッチ処理
などの代表的な連携方式を理解し、
- どのシステムから
- どのシステムへ
- どんなデータが流れるか
を説明できることが重要です。
未経験からITコンサルになる方法
ITコンサルは専門職に見えますが、新卒・未経験からでも段階を積めば十分に目指せる職種です。
実際多くのITコンサル会社では、
新卒やポテンシャル採用を前提とした育成を行なっています。
重要なのは、
「今できること」よりも、
「どんな経験を積める環境に入るか」です。
新卒の場合|まずは「基礎を学べる環境」を選ぶ
新卒でITコンサルを目指す場、
最初から高い専門性は求められません。
企業側が見ているのは、
- 論理的思考力
- 学ぶ意欲
- コミュニケーション能力
といったポテンシャルです。
新卒で狙いやすいのは
- ITコンサル会社の新卒採用
- SIerの新卒採用
- IT系職種(SE・社内SE)
です。
社会人未経験・第二新卒の場合|業務経験を積めるポジションから
社会人でIT職種未経験の場合は、
IT業務に触れられるポジションを選ぶことです。
- SIer
- 社内SE
- IT系エンジニア
などを経由し、
要件定義・設計・顧客対応の経験・ITの専門性を積むことで、
ITコンサルへの転職が現実的になります。
未経験者が共通して意識すべきこと
新卒・未経験に共通して重要なのは、
以下の3点です。
- ITの基礎理解
・システム全体構成
・データの流れ
・システム連携の考え方
を大まかに理解していること。 - ドキュメント作成能力
・わかりやすく書く
・結論から書く
・構造を意識する - 業務理解力
ITコンサルは業務を知らないと価値を見出せない仕事です。
今あなたが大学生であればアルバイトやインターンなどで
・業務フロー
・改善点
を考える癖をつけておくと強みになります。

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